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2007年10月16日

071016 オーシャンズからオーシャンズへ

マリオ氏

新監督就任後のオーシャンズについて知りたいというコメントも頂きましたので、今回はそれについて少々。
先日行われた、新監督就任の会見の様子は各所で取り上げられている事もあり、今更と言う感もあるので、その中でもポイントとなるであろう点を私なりにピックアップしたいと思う。

「過去に、ブラジルで館山マリオ氏率いる一クラブの中学生に当時タレント集団であった国内のトップレベルのチームが完敗したのを目の当たりにした。」
「本来は来年完成するオーシャンアリーナ完成と共に、Jr.やJrユースといったカテゴリーの指導を託すつもりで招聘 」
「今期間に合うかは判らないが、ブラジルからトップの監督を喚ぶ予定。その場合はマリオ氏はヘッドコーチもしくは予定通り後進の育成にまわってもらう」
「年明けには良い(今後新しく取り組む、みんなが目指したいと思うような)フットサルが見せられると思う」
上記は全て櫻井GMのコメントを要約したものだ。
これらの言葉から私が強く感じたのは、GMのマリオへの信頼、特に下のカテゴリーとなる世代の育成手腕への信頼が非常に大きい事だろう。
本来、トップの監督として招聘した訳では無いことは、GMからも説明があったが、今後ブラジルからトップレベルの監督を喚ぶ予定であることも現時点で明言されており、マリオ監督はその間の「代行」と捉えても良いのかも知れない。
あくまでオスカー体制を継続する事で、オーシャンズの進化が止まってしまうことを恐れ、次のステージに行くためのエキスパンション・ジョイント的な役割と言えるかも知れない。
現時点でもマリオには、将来的には後進の育成へ是非移行させたいという期待が感じられる事からも、オーシャンズトップチームの指揮がどうであれ、マリオ=後進の育成を託す人物、というラインは残るだろうと感じた。
ただ、マリオが「自分のやり方がチームに浸透するには3ヶ月はかかる」とコメントしたと伝えられた事には、少し語弊があるように感じる。
正しくは
「例えブラジルのトップチーム(2部練習を行っているチーム)でも、新しい戦術や戦略を浸透させるには[最低でも]3ヶ月はかかる」
という意味でのコメントだったと記憶する。
ブラジルのトップチームでも最低3ヶ月というのが、国内のチームにそのまま適用出来るとは思わない。3ヶ月そこそこの「年明けにもその片鱗を見せられるだろう」というのは、あくまで進化の過程を見せられるだろうという事に過ぎない。

ただ、この「次に繋ぐ為の代行」という非常に大きい役割こそ、まさに彼こそが適任だろうとも感じたのも確かである。決して「代行」=「臨時」という訳ではなく非常に大きい意味を持つ。
オスカーのフットサルから、次の監督のフットサルへと移行する過程で、館山マリオという触媒の重要性が確実に現れる。

マリオの言葉の中から興味深いものをいくつか挙げてみよう。
「日本にはブラジルのフットサルもあれば、スペインのフットサルもある。対戦する相手の戦術も考えて、1人1人が、何が必要かを判断してプレイする必要がある。」
「ゾーンで守るチームもあれば、マンツーマンのチームもある。同じサインプレーが通用する訳がない。ゾーンにはゾーンの、マンマークにはマンマークに対する組み立て方、崩し方を判断して行けなければならない。」
「ブラジルはコートを2つに分けて考える。これはブラジルのコートが狭いものが多いから。コートがフルに使える日本では3つに分けて考える。」
「もっと選手が判断して動かなければ行けない。決められた事をやっていてもフットサルは色々なシュチュエーションに派生する。その派生したプレイの中から、今一番良いものを常に判断して行かなければいけない。」

もうお気づきだろう。
「考える」「判断する」といった言葉が非常に多く見られる事に。
これが、マリオの持つ「育成手腕」の重要なポイントではないだろうか。一般には[戦術理解度]と表される事が多い、この、考えて実践するという能力を非常に大切にしている事がわかる。

実はこれと非常に似た話をつい先日、他の有名コーチから聞いたことを思い出した。
現在、エスパッソという団体に招聘され浜松で活動している、ルイス・フェルナンドその人である。
彼の経歴に関しては後述(別コーナーにて予定)するが、素晴らしいコーチである事は間違いない。その彼の口からも同じようなコメントが発せられた。
日本のフットサルの感想を聞くと、
「日本人はセットプレイ(ジョガーダ)が崩れた場合、次の方法を考えていない。必要なのは、その時その時に一番必要なプレイを判断し、連続性を持たせること。成功か失敗だけではいけない」
「ダイヤでもボックスでもクワトロでも、ベースの戦術がヘドンドでもエイトでも、それがうまく行かない状況でもひたすらやろうとしてしまう。そこでどうしたらうまく行くのか、また、うまく行かないならどう変えるか、それを瞬時に判断しないといけない。」
「日本人は覚えるのは早い。一生懸命やる。ルールを守る。でもルール(決め事、ディシプリン)が崩れた時に、自分の判断で対応出来ない。変えることが非常に苦手に感じる。」
私には、マリオが話す事とルイスが伝えたい事とがまるで同じように感じられた。つまり、「良い判断、考えて対応しろ」という事なのだ。

オスカーが植え付けた「とにかく勝つ」という事の大切さ。勝つからこそ生まれる「負けられないプレッシャーを乗り越える経験」と「負けないというプライド」。
強さを先に身につけたオーシャンズが武器にしてきたのは、まず「アクション」であった。
自分達のフットサルを、淡々と確実に続ける事によって、しっかりと勝利に近づけていった。
今回マリオによってもたらされるのは、恐らく間逆の「リアクション」だと言えるだろう。
相手に応じて、状況に応じて、自らの戦術、プレイを変化させていく。
開幕戦を引き分けたオーシャンズには、明らかに「リアクション」が足りなかった。

オスカーが築いた「アクション」と、マリオがもたらす「リアクション」の上に、今後招聘されるであろうブラジル人監督が積み重ねるもの。それこそが、本来のオーシャンズの行き着く姿なのかも知れない。
答えはマリオから次へバトンが渡された時に現れ始める。それぐらい今回のマリオの役割は大きい。オスカーからマリオへ、マリオからまた次へ。受け継がれていくバトンは確実に繋がっている。

(シュライカー大阪戦の前に書いていたもののアップです。今、改めて読み返すと、先日の大阪戦では逆に[アクション]が影を潜めたと言った感じでしょう。恐らくリアクションのフットサルに変貌していく途中と言うこともあり、更には大阪があれだけ退いてくると言うのも予想外の展開であった事だと思います。あの展開でのリアクションとは、すなわちアクションだった訳で・・難しい問題ですね。逆もまた真なりという事で。)

07.10.13text by S.IDO 

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